こいつは強い

6月にリリースされるAKB48の新曲”涙サプライズ!”には「13thシングル選抜総選挙」投票用シリアルナンバーカードが封入される。シングル選抜総選挙とは一体全体何ぞやと思われている方々に仔細を説明すると、本質的な意味を度外視して『AKB48』を一つのグループとする場合(名古屋を拠点とするSKE48や、まだ劇場デビューもしていない研究生を含む)、彼女たちは最早100人を越える大所帯どころか怪物的な組織となりつつあるらしい。あまりに膨大になったグループの中で、『AKB48』の看板を背負い、シングル曲を歌って踊れるのはほんの一握りのメンバーだけだ。そしてそのメンバーを今まで選抜してきたのは、当然とも言えるが上層部の大人たちだった。そこで一度考えを改め直し、原点でもある(初期のAKB48はアンケートでメンバーの人気を計っていたらしい。そのアンケート制度の恩恵を受けて、一度は落選しながらも劇場のカフェで働いていた篠田麻里子様がイレギュラーながらAKBに途中加入した)ファン投票により、次回のシングル選抜メンバーを決めてしまうという企画だ。

そもそもの事の発端は劇場支配人によるこのエントリーだった。

http://ameblo.jp/akihabara48/entry-10233244948.html

ポピュラリティーを獲得した弊害は様々な場所で生じた。現在は廃止されているがこのエントリーには何千件ものコメントが寄せられた。チケット譲渡の問題や劇場スタッフの対応、新参古参問題、出禁(劇場出入り禁止)を解いてくれなど、剥き出しになったたくさんの想いが書き込まれて、正に過渡期を映し出した混沌具合だった。その中でも目に付いたのが、「劇場で頑張っていないメンバーがシングルメンバーに選抜されるのはオカシイ」という意見。それは特定のメンバーの名前をあげた批判にまで過熱していた。またそれに対して反駁するコメントも書き込まれ、収拾がつかない巨大な熱の渦を巻き起こしていた。そこでAKBスタッフが打った一手が、シングル選抜総選挙であった。

お前らグチャグチャうるせえからテメェラで決めろや!というスタッフの打棄り。それは、ファンが投票しようがスタッフ側が決めようがどうせ大差ないメンバー選考になるであろうという秋元康の思惑が生み出した余裕なのかもしれない。そんな大人たちの策謀に、彼女たちAKB48の人生は左右されてしまうのです。しかし、それは同時に大きなチャンスでもあります。事務所の介入・利権問題・上層部の意向などとは別のレヴェルで闘うことが出来る。ファンの力は侮ることが出来ない。実際、今年行われた”リクエストアワー2009”というファン投票によるカウントダウン方式のライブでは、チームBの”初日”という曲が1位になりました。

これがどれだけエポックメーキングな出来事なのか。AKBにはチームAとチームKとチームBという3グループがあります(厳密には違うけど)。その中でも世間一般的なAKBのイメージを司っているのがチームA。もう段違いに人気がある。テレビに出てる子達もほとんどがこのメンバー。今まで選抜されてきたメンバーもほとんどがチームA。その次に人気があるのがチームK。テレビに出てるのもチームAとチームKで8割。前回のシングル曲である”10年桜”の選抜メンバー20人のうち、チームBからはたった3名。そんなチームBが、チームAやチームKどころか歴代のシングル曲を越えて、AKB全楽曲の中で1位を獲得したのです。こんなドラマティックな出来事が大人たちの小賢しい戦略を超越したところで起こり得てしまうのがAKBの面白さの一つだと思います。

そこでファンによる選抜総選挙です。彼女たちには僅かながらも自分自身の運命を自分たちで選択できる余地を与えられています、それがAKB48全メンバーによる「政見放送」です。1分間だけフリーに喋り、自己アピールできる場を与えられました。言わずもがな、そんなもんが総選挙に与える影響なんてのは蚊が刺す程度です。それでも必死に、魂を燃やして爪痕を残そうとする女がいるのです! それがAKB48チームBのCINDYこと浦野一美です!!!


下記に、その情熱の差を明確にするためにCINDYと別のメンバーの動画を動画を貼ってみます。


まずシングル選抜メンバーには必ず選ばれてきた、ともちんこと板野友美政見放送



アイドルらしくてカワイイですね。現時点で政見放送を終えた他のメンバーも大体同じような内容で(オカロは個性が出ていたけど)、特技、自分の生い立ち、将来の夢、可愛さアピールなど微笑ましいものになっています。しかし、次の動画を見て下さい。浦野一美の凄さを見て下さい。




浦野一美、最後のお願いにやってまいりました! 世界の経済が低迷し、もがき苦しむ中、金融、自動車業界は再編をし、今までに無い道を探しております。我がAKB48も選抜固定のままでいいのでしょうか!? 古い概念をぶち破らない限り、明日は無い!と思っています。私のような年長者が立候補するのは煙たがられるような気もしますが、私は今回、どうしても選抜に入りたいのです! 苦節三年半、まだ一度も選抜に入ったことが無いからです……恐らく近い将来、私は卒業を余儀なくされてしまうでしょう。だからAKB48でチャンスを掴みたいのです! AKB48を変えた女として後世に名を残したいのです! AKB48を変えよう! 若いだけがアイドルじゃない! 高齢者に優しいAKB48を! Change the World!!! ぶっ壊せー!!! 作り直せー!!! A・K・B!!!」


座付き作家がついているとしか思えないクオリティー。なにより恐ろしいのは、この長文をカンペも見ずにカメラをガン見して一言も噛まず独演していることです。この悠久の歴史の中で、「恐らく近い将来、私は卒業を余儀なくされてしまうでしょう」なんて告白してしまえるアイドルが存在したでしょうか。それを許してしまうAKBスタッフの緩さも素敵ですが、僕は浦野一美に清き一票を投じたいと思います! なぜなら僕の推しメンである、たかみなや麻里子様は放って置いてでも必ず選抜される超絶人気メンバーだからです! みんなで歴史を作ろうじゃありませんか! 浦野一美浦野一美にどうか清き一票をッッッ!



あ、全く関係ありませんが今更ながらtumblr始めました。
http://erohi.tumblr.com/