取り戻すCycle と Circle


普段は名古屋で活動しているSKE48のメンバーが、AKB48のファンにもそのパフォーマンスを見てもらうために秋葉原の劇場でオリジナル公演を行った。その公演を見たAKB48(チームB)のなっちゃんこと平嶋夏海の日記。


 SKE48の公演みて・・・・・・・
 正直、心が折れました。
 いや、
 周りの評判聞いてたしこうなんだろうとは見る前から予想してたけど・・・
 皆ほんとに楽しそうに歌って踊って
 チームとして力が大きすぎで
 お腹いっぱいって感じ
 個人的にはゆいみんがやばい!!!
 雨のピアニストやイノセンスは鳥肌がたった☆
 SKEにあって私たちには無いものがある
 すごく悔しい
 もっとがむしゃらにならなくちゃって思ってた
 あんまりうまく文章にできなかったです(´・∧・)

SKEの楽曲は、触れるタイミングが無かったから完全スルーを決め込んでいた。だけど、じゅりなこと松井珠理奈の西中こと中西優香(ああもう面倒くせえ!)に対する憧憬とも恋慕ともいえる視線がマジガチ過ぎて、SKE48のラジオ”観覧車へようこそ!!”を聞き始めたらSKEにも感興がわいてしまい一気に楽曲聴き倒し映像を見て、結果、今まで避けていた自分を猛省した。

なっちゃんがきちんと言葉にしているが、現在のAKB48には無いものがある!というか喪失せざるを得なかったファクター──過ぎ去った季節──なんだろうけど、何かが変わる瞬間のマジックが彼女たちには秘められている。チームAの華々しさと王道感、チームKの身体能力と団結力、チームBの純朴さと向上心、それとは微妙に形は違えど、勝るとも劣らない光が詰まっている。名古屋は独自のカルチャーが発達して全国に広がってゆく発信力のある場所だから、もしかしたらSKEは、AKBが敷いたレールの上を走らずとも誰も踏み込んでいない独自の道を開拓できるかもしれない。AKB48の黎明期に乗り遅れたことを惜しむ人、またはそれをリアルに通過した人たちがSKE48に想いを馳せる気持ちがなんとなく理解できた。


http://www.youtube.com/watch?v=dV-zhbHKUxY


SKE48のセンターを任されるじゅりなは端的に言って、「すごい」。まず中学一年生にして、強靭で確固たるプロ意識を獲得している。僕がじゅりなにLOVEずっきゅんしてしまったエピソードが2つある。

デビュー前のアイドルグループの恒例行事とも言えるダンスレッスンでの先生からの叱咤の場面。先生がメンバーに向かって「全然レベルが低い」「自分でやっていて、一瞬の隙も無くやり切っていると言える人は手を上げて」と彼女たちの気を引き締める為に語気鋭く言い放つ。緊迫した空気がその場に張り詰める。もちろん先生が求めていたのは彼女たちの無言のアンサーだ。しかし、その中で当時小学生だった彼女はたった一人、堂々と手を上げるのだ

幼さゆえの勘違いではない。それだけの自負が小学生の彼女には既に存在し、この状況下で手を上げる勇気と行動力を併せ持っていた。実際にじゅりなのパフォーマンスを見て、やり切っていないと言える人間こそ思い違いをしていると言ってもいい。二つ目のエピソードは、SKE初のオリジナル公演のダンスレッスン中の出来事。AKB48のシングル選抜メンバーに選ばれた松井珠理奈松井玲奈の二人は、他のメンバーに比べて練習に参加できる機会が少なく取り残されていた。その事態をダンスの先生が皮肉り、珠理奈と玲奈の頭文字を取って「JRさんは(大丈夫ですか?)……」と投掛ける。その場面で即座にじゅりなが言い返した言葉は「特急で教えて下さい!」。エスプリも効いているし、その強気の姿勢が素晴らしい。

彼女はメンタルだけでなく、尊敬しているたかみなにも負けない常に全力のダンスと天分に恵まれた表現力、12歳という年齢に照らし合わせると非現実的ともいえる凛々しく魅惑的な外貌を有している。なにより人間を全肯定するような爆発した「生命」の発露が凄まじい。見ているだけでこっちまで楽しくなってしまう圧倒的な陽光が全身から溢れ洩れている。アイドルになるために生まれてきたような宿命すらそこに見てしまう。僕は後藤真希松浦亜弥以来の傑物だと思っています。


http://www.youtube.com/watch?v=1DhV83fdVRc


他にもSKEには才気溢れるメンバーがいる。一人はみぃこと桑原みずき。狭小な視野だが僕の知る中では、AKBという枠を越えて同年代ではアイドル内ダンススキルNO.1。なぜプロダンサーではなくアイドルになろうと思ったのかが気になるほどに卓越したダンスを披露している。二人目はSKE48のキラーチューン”Innocence”でもメインボーカルを務めたゆいみんこと松下唯。SKEに入る前は何をやっていたんだろう。公演を見るまでは、この子に人気のある理由がわからなかった。件の選抜総選挙における政見放送で彼女を見たときの率直な印象は、典型的なドリーミーガール──極めて痛い子だった。20歳になる女性が第一声からロリ声で「こんにちぴょん!」と臆面もなく言い放つ旧態依然としたブリっ子キャラを終始貫くアプローチを首肯することが出来なかった。しかし蓋を開けたら圧巻のパフォーマンス。ダンスも抜群、歌唱力はAKB全体を含めてもベストだと思う。なっちゃんがカルチャーショックを覚えるまでの異常なスキルを持っているのに、なぜあのキャラクターを選択したのか不思議でしょうがない。ちなみに僕の推しメンはぴっぴこと出口陽だ。


http://www.youtube.com/watch?v=mZ9kFKcDYyA


恐ろしくも素敵な時代だ。彼女たちを、SKEのオーディションを受ける運命に導いたのも、AKB48が一つずつハードルを乗り越えてきたからだ。これからこういう天才たちがどんどんAKBに加入してくると考えると、秋葉原・栄だけでなく、本当に全国制覇してしまう可能性があるから秋元康は不気味だ。



・おまけ



「うさぎの国に帰れ!」