でたらめばかり並べてるうち からまった僕らの寝不足

3月1日、決戦の日が来た。全ての人間が星に願いを込め、全ての人間が四国遍路をした気になり、全ての人間が「ウカ〜ルとかきっと勝っととかToppaとか最近のお菓子メーカーの軟弱さはどうなのかね。お菓子はまだしもガリガリ君のナンパっぷりにはお父さん言いたい、ああ言いたいね、アイツだけは一本筋が通った男だと思っていたのになんだね、ガリ子ちゃん? お前と言うものがありながらそんな売女に現を抜かしてるそうじゃないか!」「お父さん止めて! ガリガリ君とはもう終わったの! それにガリ子を悪く言わないで! ガリ子はそんな子じゃないの! ガリ子は、本当はガリガリ君ガリ子は───つまり僕はイープラスさんに、お申込みいただいたチケットを全部ご用意されちゃったのだ!!! トゥットゥル〜トゥットゥル〜!(ヤスタカがしょこたんの番組に出演したとき、しょこたん興奮度MAX時に使用されていた言葉、意味は知らない、僕は流行に敏感なのだ) やべ、超テンションあがるんですけど、マジ笑っちゃうんですけど、予定表作ってライブ日程書いておこうかしら、それともTOPにPerfumeのライブまであと何日とか書いちゃおうかしら、アハハアハハハハ! でもダメダメ、僕が当選したってことは落選した方も少なからずいる訳でそんな方々を不快な気分にさせてしまうから決して調子に乗っブハハハハハッッッ!!!!! 控えろ愚民ども! 我こそはPerfumeのチケット持つ者、唯一神エロ火なるぞ!!! まずは5万からだ! 5万からお前らの態度次第(カワイイ子を紹介する、おっぱいの大きい子を紹介する、Perfumeを紹介する)で考えてやらんこともない!なんてことはやっぱり思わないのだ、なぜなら僕はあ〜ちゃん大好きパフュヲタです。「心地よいココロの粒子」をいっぱい出してゆきたいのです。そんなわけでこれから前売り抽選を控える皆様に、合格発表日をどのように過ごせば当選できるのかを若輩者ですが紹介したいと思います。



3月1日、僕は渋谷へ向かっていた。落選恐怖のあまり、パソコンの電源を入れることも出来ずに渋谷へと足を急がせた。3月1日、この日は"Perfume First Tour 『 GAME 』"の当選発表だけではなく、原田の知世ちゃんlive tour"music & me"東京追加公演が待っていた。ロッキンオンとスヌーザーを毎号欠かさず読んじゃう「硬派な音楽通」=CO2な僕はロックやテクノだけでなく時をかける少女までチェックしてしまうのだ。しかし実際は原田の知世ちゃんに興味は無かった。本当の目的は、このライブに僕を誘ったシヴイ氏の鼻っ柱をチーンッしてやるだめであった。なぜなら彼がはてな界隈で最近ブイブイ言わせているとの噂を聞きつけたからだ。パフュヲタからもハロヲタからも賞賛が止まない僕の名前を使ってアンテナ数を稼ごうとしているらしい。これを売名行為と呼ばずして何と呼ぶべきか。僕の名前をかたれば少しでも高く飛べると勘違いしているのではなかろうか。そんな夢からも覚ましてやる(鼻っ柱をギューンッしてやる)ために僕は何等興味の無い原田の知世ちゃんliveに参戦することにした。

渋谷系の渋は俺のシヴ」だと言い張るシヴイ氏は案の定待ち合わせ場所を渋谷@HMVのテクノコーナーというアゲアゲ↑↑なスポットに決めた。ネルシャツ7:3メガネメモリストである僕はそもそも渋谷というゴーイングゼロなオシャレ庭園が大嫌いなのだが、シヴイ氏に一発くれてやるためには多少のカツアゲも覚悟しなければならない。しかしこの日は幸運にも誰からも絡まれることはなくHMVのテクノコーナーに辿り着いた。だがそこにはお馴染みAgnes b.のボーダーシャツを纏ったシヴイ氏の姿は見つからず、今にも電卓を打ち出しそうなマネキンみたいなツラをした奴らばかりがいた。すると忌み嫌うシヴイ氏から「クラブジャズのコーナーにいるメーン」との極めて頭の軽そうなメールが届いた。とりあえず削除してロッキンオンジャパンを読んで彼を待つことにした。5分ほど待つと、浜崎あゆみ中田英寿などに属するゴキゲンな人間以外がつけてはならないグラサンをした人間が近づいてきてこう言った。「YO! ソウルメイト! 今夜はパーティー! 楽しもうZE・DA・アーイー!?」シヴイの金歯が鈍くギラついた。気付けば僕はお小水を垂らしていた。

半ば強引に恵比寿ガーデンホールへ連れてこられた僕は十八番の女ヲタ物色を開始した。何時如何なるときであろうともライブ会場について真っ先にやることは女ヲタを視犯することである。早速お目当ての高気圧ガールを発見した僕は隣でクロムハーツをジャラジャラ言わせるシヴイ氏に向かって「あの赤い服の女の子ヤバクないっすか?」「どれですか? あーあれはいいですね」「ヤバイっすよね、マジヤバイっすよ」「あれは素人じゃないですね」「知世ちゃんヲタはカワイイ女の子多いっすね」「オリーブ少女(シヴイ氏は僕よりも流行にうるさい)っぽい女の子が多いですね、僕そういうオシャレな子好きなんですよ」「セレブっぽいっていうか落ち着いた女の子多いっすよね」「そうですね、僕はオシャレな女の子好きなんです」「すみません、ちょっと黙っててもらえます?」

肝心の知世ちゃんのライブは大貫妙子、オニキユウジ、キセル鈴木慶一高木正勝高橋幸宏というグロテスクな面子がゲストとして集結していた。正直、予想していた遥か斜め上を行く面白さだった。スローテンポな曲をスタンディングで終始聴き続ける辛さ(腰との死闘)は確かにあったのだが、それ以上に知世ちゃんが鬼可愛かった。ぱっつん知世ちゃんはこの世の生き物ではなかった。シヴイさんが「妖精ですよ」と酷く気持ち悪いことを言っていたが同意せざるを得なかった。あ〜ちゃんのオーディエンスをガツンガツン攻めてくるハイスピードなMCも最高に刺激的だが、知世ちゃんのオーディエンスどころか時間軸すら完全無視したウルトラほのぼのしたトークも可愛くてしかたなかった。ぜんぜんゲストと噛合ってないトークやワンテンポ遅れて笑う様が、社会に磨り潰されて失った何かを思い出させてくれた。だって「あははん」とか「くくくく」とか笑うんだぜ、そんなの漫画でしか見たことねえよ。とにかく知世ちゃんは歌声も含めて何もかもが凶器だ。アンコール後にラフな服装で前髪ぱっつん+団子にして出てきたときは、隣にいたシヴイさんと何も言わずに目が合った。シヴイさんの瞳は少年のように輝いていた、だけど口からは涎がマーライオンみたいな勢いで流れていた。かしゆかに似てませんか?と訊こうとしたのだが、そのツラを見て、冗談抜きで殴られそうなので止めた。

知世ちゃんが最高なのはプロデュースされることを恐れていないことだ。唄うことへの純粋な興味と、楽曲にツールの一部として使われることを楽しんでいる。帰り際、シヴイさんに「心の清らかさが顔に出ていますよね!」と言ったら「いやそれはわからないです」と即答された。そんなライブだった。そして真野ちゃん音楽ガッタスから卒業する。マジでUFAはクソ事務所。誰が何と言おうが頭が悪すぎる。後藤さん、早くエイベックス行っちゃいなよ! 後藤真希の才能は鈴木亜美よりも絶対上だよ! Buffalo DaughterTHC!!キリンジにプロデュースされちゃいなよ! おまけにヤスタカにもされちゃいなよ! ごっちんにもう一度会いたいです。