バーリ・トゥード

信念・主義・主張を一切持たず、可愛くて穴が空いてれば老若男女なんでもいいことでお馴染みな僕は先日AKB48のライブを見てまいりました。しかしアイドルDDで有名な僕でもAKB48は生理的に好かないグループでありました。クローズした世界だけを対象にしている気がしていたし、露骨に性の臭いを感じていたからです。だけんども、ここ何週間ヲタモダチによるYouTubeという名の肉体オルグによってホント薄っすらと何人かのメンバーを把握できるレベルにまで達していた。ヲタモダチの手にかかる以前から篠田麻里子って子はカワイイなあ程度の認識はあって、彼女がカフェの店員からメンバーに加入した経緯だけは知っていた。だけど他のメンバーの名前は一人たりとも知らなかった。そんな僕もヲタモダチの情熱に打ち負けて、公式の写真を見てなんとなく河西智美さんを推してゆくことに決めた。理由は顔がエロイからだ。僕は油断したエロイ顔の女の子が大好きなのだ。そこでヲタモダチの力を借りて彼女の映像を探ってみた。その映像の中にいた河西さんは全力でロリったアイタタタタな子だった。全身の穴という穴から油断を誘うエロスメルを発した、どうしようもなく女の子に嫌われそうな女の子だった。一発でこういう子を引き当ててしまう自分のダメ男センサーが恐ろしかった。とにかく僕は河西智美さん=とも〜みを全身全霊をかけて推してゆくことにした。

推してゆくと言ってもヲタモダチの話に付き合う程度のナンチャッテ推しでしかなかったのだが、ヲタモダチの誘いもあって一度くらいライブに行ってみよう〜THE冷やかし気分〜で秋葉原へと向かった。仕事をめちゃくちゃな理由で切り上げて何年かぶりの全力疾走でドン・キホーテの8階へと急いだ。劇場に着くと埋め尽くされたヲタ・カーニバル。一見様に厳しい混雑っぷり。つーかせめぇえええ!!! なにがなんだかわからずAKB童貞(ヲタモダチは2回目)の僕らはチケットを購入する為に、ギリギリでこれ列じゃねえ?っていう並びにそれとなく入ってみたのだが、すぐさま本職の方々に注意を受けた。ド新参は体で覚えろ的な歓迎ムードに僕はXTCを覚えていた。ヲタモダチAKB48のチケット争奪システムを絶賛していて、メールで予約抽選をした上にそこから整理番号を受け取って更に入場順を抽選するシステムだという。これだと同じチケット代金分で誰にも良席を確保する公平性がある。二度と怒られないようにキチンと整理番号どおりの場所に並んだ。ふと横の壁を見るとAKB48の顔写真がズラーっと並んだキャバクラワールド。そして運命と呼ばざるを得ないのだが、僕の顔の横にはちょうどとも〜みの麗しいご尊顔が。僕がヲタモダチに「とも〜みにキスしてもいいですか?」と訊ねたら「刺されますよ」とコイツマジ勘弁しろよ的な顔されたので止めた。

しばらくするとスタッフの方がやってきて、「カップル席の人は後についてきて下さい!」と張り切ってファンの群れを引き裂いていった。気付けば僕は先頭にいて、スタッフの方が「カップル席の方が通るので道を開けて下さーい!」と大声出して道を開けてゆくので自動的にフロアにいる客の視線を一身に受ける凶悪な羞恥プレーを味わい勃起した。そのまま流されるままに予約していた席に座った。会場は視界に全てが収まる程度の広さで、目線が被らないように座席の位置が後方へ向けて高くなっていた。そして何より目を引くのはセンター席の左右を貫くド太い柱。このクソ邪魔くせえのは一体全体何なのだ?とヲタモダチに質問すると「だからファンクラブが柱の会って言うんですよ」と返されてなぜか納得してしまった。そんなこんなで”ロマンス、イラネ”が始まった。藤本美貴さんへのアンサーソングな気がしてこの曲だけは知っていた。でも実際は曲どうのこうのよりも「近い! 近すぎる! 死ぬ! マジで死ぬ!!!」とありえねえ距離感にパニくっていた。興奮を通り越して恐ろしくなっていた。

この距離感を現実のものとして受け止めるのに3曲くらい時間を要した。そこでやっと、とも〜みは何処だ!と必死になって探したのだが素人童貞の僕にはステージにいるバキャワイイ(バカみたいにカワイイ)女の子を個別認識するほどの耐性がなく、口元から垂れる涎を拭うのに必死だった。けれど、そんな中でも圧倒的に飛び抜けてバキャワイイオーラを発している女の子がいて、ずっと篠田麻里子さんを目で追っていた。もうなんつうか同じ人類として恥ずかしくなるくらい異次元の美しさを誇っていて、吉澤ひとみさんや藤本美貴さんや松浦亜弥さんを生で見たときも気絶するくらいの衝撃を受けたのだけど、それを軽く上回る絶望的なプロポーションだった。心底死にたくなるほど奇麗だった。4曲目辺りで篠田さんがステージの右端にポジションを移し周辺の客を煽っていた。みんながステージの中央を見つめる中、ガン無視してセンター席から僕はずっと篠田さんを見ていた。そこからはガチで篠田さんとずっと視線が合っている気がしてガンの飛ばし合いに耐えれなくなり横にいるヲタモダチに「ダメだ死ぬ! マジで死ぬって!!!」と10秒ごとに戦死報告をしていた。

そんな風におそらく劇場にいる人間全員が勘違いしているんだろうなあと即席恋愛システムに感嘆した。クローズした世界の究極がここにはある。驚異的な公演数を潜り抜けてきた彼女たちの実戦によって研ぎ澄まされてきたパフォーマンスは、単純にダンスや歌唱力だけでなく人を惹きつける術すらも本能的に学んでいる気がした。それは狭い箱だからこそ、客との距離感をリアルに肌で感じている人間のみが工夫して生み出してきたもので、他の誰かが一朝一夕に到達できるものではない気高い技巧だ。MCも面白いなあと思ったのが、誰一人ゴールを目指して会話をしていない。ただただ等身大の女の子が今日その瞬間に感じたことを垂れ流している。たとえばPerfumeならばあ〜ちゃんが先頭に立ってマシンガントークで観客を撃ち殺して最後に救いの手を差し伸べる(これも実戦で磨き上げた武器だけどね)、モーニング娘。ならば大多数の人間に分け隔てなく伝える為にフリートーク慣れしていない女の子たちにも優しい台本を忠実にこなしてみせる。だがAKB48は狭い箱ならではの距離感を更に縮める為に日常の出来事を何の衒いもなく喋っている。痛烈なまでに『身近』を表現し続ける。

正直言って今回のライブで楽曲やダンスパフォーマンスに特別心を動かされることはなかったけど、この『劇場に足を運べば毎日会える』というコンセプトの『会える』への愚直なまでの特化の仕方は感動すら覚える。特別な女の子が特別な距離にいない矛盾した世界観を完璧に構築している。ダンスもバラバラなのに、あえて揃えていないと思わすまでに一人ひとりが個性で溢れている。どんな曲でもどんなポジションでも一切妥協せずに常にキレキレのダンスをみせるプロ意識の塊である大島優子さん、大島優子さんのようにどんなときでも全力なのに1か10しか表現できない極端な高橋みなみさん、みんながエッジの効いたダンスを披露しようと努力する中そんなものは地球の裏側の話と一人曲線を描き続ける小野恵令奈さん、ウホっ!抱かれたい!!!と同じ男して猛省したくなる勇ましすぎる腹筋を見せつける秋元才加さん、常に目を潤ませ眉を八の字にして男を一瞬で勘違いさせる河西智美さん、そしてやる気を一切感じさせない緩々なソロダンスを爆発させるオールウェイズ悠悠自適な篠田麻里子様。MCも自分のタイミングで勝手に入ってきては自分のペースでオチのない会話をする麻里子様。他人が喋っているときはつまらなそうに髪をイジり続ける麻里子様。でもそんなことはどうでもよくなるくらい容顔美麗な麻里子様!!!!!!

とも〜み激推しを宣言していたのだが結局は麻里子様に殺された。”Bye Bye Bye”のタンポポみたいな衣装も可愛かったし、”初めてのジェリービーンズ”のボールは欲しかったし、”となりのバナナ”はえれぴょん&とも〜みという地獄ロリっ子コンビがバナナバナナとのた打ち回りながらミニコントを繰り広げていて涙したし、”記憶のジレンマ”は一人も知っている子がいなかったので急激にハートがクールダウンしてカワイイ女の子なら誰でも良いわけじゃないんだなと自分に安心したし、”Confession”は秋元さんの腹筋に痺れて板野友美さんがどの曲でもちょうど僕の0ズレにやって来ては視線が合っていたのでこの子は俺に惚れてるなと本気で思ったし、”森へ行こう”はやっととも〜みが0ズレにやってきたのに終始視線が合わないという逆運命を感じる羽目になったし、”青春の稲妻”はモーニング娘。のセカンドモーニング辺りの古臭さがあっていい曲だなあと思ったし、”生きるって素晴らしい”はよく覚えてないし、”愛の毛布”はどっかで聞いたことあるし、”ロックだよ、人生は・・・”はヲタのアンコールのかけ方がすげえなってのと空調が全開で寒かったし、”50%”はこの曲だけは唯一面白い!と心から思ったし、”ハートが風邪をひいた夜”はタイトルがひでえなって思ったけど、結局麻里子様が美しいに尽きる。

最後に一言ずつメンバーがメッセージを言っていた。高橋みなみさんは彼女なりに全力で必死で面白いことを言ってるつもりなんだろうけど電撃的につまらねえのに止まることを知らずに畳み掛けて伝説的にスベっていた。心の底から面白くないのにファンの皆さんはちゃんと許せる空気を作っていてその信頼感は感心した。この子のおばちゃん力は尊敬に値する。あと今まで何一つ気にならなかった研修生の藤江れいなちゃんのトークが激たどたどしくてヲタモダチに「カワイイカワイイカワイイ!」と叫んでいたらこの子がチームAに加入することになって号泣みたいな奇跡イベントに立ち会えた。そして小嶋陽菜さんが喋ろうとしたらヲタの一人が「みーちゃんのクッキーおいしかった?」みたいなことを喋りだして「っていうかなんで喋ってるんですか?」と一刀両断したスキルはすげえなと思ったら追い討ちをかけるようにそのヲタを「オジサン」呼ばわりしていた。こじはるを舐めていた自分を反省した。あと、たかみなが喋っているときのこじはるの露骨な「なに言ってんだコイツ?」的なツラはアイドルグループの革命を見た。個人的に麻里子様とこじはるがキャットファイトしている姿を見たいです。

なんだかんだで最高に楽しんでしまった。一度もだれることなく純粋に最後まで楽しめた。これを3000円で見れるってんだからそりゃあ毎日行っちゃっても不思議じゃない。なんでもそうだけど食わず嫌いはいけないなあと思った。Perfumeとは全く逆のベクトルでアイドルの意味を掘り下げていますが、楽曲なんて一つも知らなくても十二分に楽しめるクオリティーであるのは間違いないです。僕はもう一度麻里子様に会うためにきっと近いうちにAKB48を見に行く。アイドル破産の日も間近です。