パンが一つならわけわけね

Perfume First Tour「GAME」@新潟 LOTSを見てきた。なんていうか、あがったな。双六でいうあがった感覚がある。それほどに幸せな空間だった。大阪で衝撃を覚えて、東京で歓喜を味わい、新潟で至福を知った。これ以上なにが待っているというんだろう。チケット持ってる仙台と横浜になにがあるんだろう。ただこれだけは言えるのは、いい加減誰か6月1日の最終公演のチケット譲ってくれ、マジでそろそろくれって、そういうのあるんじゃないの? ブログ読んでいる人同士の交流みたいのあるんじゃないの? 学生の頃からインターネットの隅っこでコソコソと生き抜いてきたが一切そういう恩恵こうむってないんだけど? あと「ロケットパンツ大好きです!」みたいな人に実際会っても何一つ褒められたことないんだけど? なんかガッカリされてる気がするんだけど? ネットなんて嫌いだ! だけどPerfumeは大好きだ!!! だから千秋楽のチケットどなた様かお売り下さいませませ!!!!!(床に勢いよく額を叩きつけてそのまま手と足をピーンッと一直線に天井へと伸ばして土下座しています)

大阪へ遠征したときに深夜バスという名の地獄車をオミマイされたために不眠症になってしまった僕は、新幹線という文明の利器により座りながら足を伸ばせる幸福を噛み締めながら新潟に降り立った。初めて目にした新潟はカルチャーショックを受けるくらい人がいなくてハンパなく寒かった。近くの交番で新潟 LOTSへの道を教えてもらい、とぼとぼと友達二人で歩いていると遠目から見て局地的に人口密度が狂っている場所があって案の定そこが新潟 LOTSだった。だけどZepp Tokyoでの狂騒に比べれば愛らしい人数で、これはオイシイ!と即座に物販の列に並びパンフレット、フェイスタオル、ラグランシャツ、Tシャツを買った。そのまま寒さを凌ぐために近くのマックに避難するとパフュヲタしかいねえじゃねえかレベルで客のほとんどがシャツとタオルを装備していた。開場の時間になりLOTSへ向い、クローク(でっかいビニール袋に荷物を押し込んで500円で地べたに放置できる斬新なシステム)に上着とバックを預けて入場した。

チケットが100番台だったのでハナっから4列目ぐらいの場所を確保できた。今日一緒に来てくれた友達は学生時代からの友人でPerfumeには興味があるけどライブの耐性が全くない人間だったのであ〜ちゃんが言うところのヘリで観賞していたらしい。僕の周りのお客さんは前線にも関わらず女性の方が多くて大丈夫なんだろうかとあまりに余計な心配していたら左の方から「がんばるぞっ、オー!」×3をやっている客の気合が聞こえて笑った。僕もやりたかった。つーか狭い!!! なんだこの箱の小ささは! 僕はカウントダウン以降のライブ参加者なのでZeppとAXでしかPerfumeのライブを見ていなかったからこのスケールには始まる前からオイシすぎると狂喜していた。で始まったと同時にやっぱ近ぇええええ!!!!!どっかの神経が完全にブチ切れた。アホみたいに距離近くていいんですか、既に泣きそうです。”GAME”を最初から最後までこんなにシッカリ落ち着いて見れたのは初めてでそれだけで感動した。でもそんなこと考えながら周りの女性に気を使っていたら”エレクトロ・ワールド”と”コンピューターシティ”に怒涛の勢いで押し出されていつもどおりドセンターのバー真横に位置してしまい脇腹との死闘を繰り広げるハメになった。客のノリは東京以上ではないにしても密度が尋常じゃないから手を一度突き上げてしまったら下げられないレベルの圧縮率で、熱ければ熱いほど喜ぶPerfumeから「モニターがガクンガクン揺れてるから少し落ち着きましょう」と異例のお達しが飛び出すまでにギュウギュウだった(あ〜ちゃんは前線にいる女性の方々に気を使ってるみたいだった)。でも”コンピュータードライビング”は僕が経験した中では一番の心地好さでハンドルを握ってライブ会場が揺れている一体感に溶けそうになった。ただ肋骨折れたと思った。

MCは(箱の小ささもあってなのか)とにかくあ〜ちゃんがいい具合に気を抜いている感じが伝わってきてすごく伸び伸びと客を煽り続けていた。コールアンドレスポンスも完璧で、あ〜ちゃんが好き放題やっては終始「うへへへ」と例のバカカワイイ笑みを浮かべていてそれだけで幸せになれた。のっちとかしゆかからも緊張感は伝わらず(関係者が来てなかったらしい)、変に肩に力が入っていない柔らかい雰囲気が蔓延していた。客との実際の距離も精神的な距離も近くて、まるで売れる前のPerfumeのライブに来てるような温かい空気が漂っていてずっとMCを聞いていたかった。そんな感覚も初めてだった。

Twinkle Snow Powdery Snow”、”Baby cruising Love ”、”ファンデーション”では目の前にはメチャクチャ気持ち悪い腰使いをする2mヲタ(自分よりも5センチ以上高い奴は全員2mルール)、右には永遠とPerfumeの歌を熱唱し続けるおっさんに挟まれて一気にテンションが落ちたけど、その分冷静にPerfumeを見続けることができた。ファンデーションのかしゆかは何度見ても神です。ファンデーションの8の字にあ〜ちゃんとのっちの間を抜けてゆくかしゆかのおませ顔を見たらみんなゆかちゃんファンになるはずだ。あの小走りに自分のポジションに戻ってゆくダンスを考え出した水野ティーチャーも神。”Butterfly”後の”Take me Take me”はあまりに距離が近くやっぱりのっちを見てしまう。つーか毎回センターに行ってしまうからのっちばかりを見てしまうんだと今更気付いた。”シークレットシークレット”はアガる。シークレットシークレットは毎回高まりすぎて記憶が曖昧になってしまう。最初と最後のポージングしかハッキリ覚えていない、それほど盛り上がる曲だ。それにしてもシークレットシークレットからの”マカロニ”への繋ぎはどうしようもなく泣ける。このツアーのセットリスト考えたPerfumeはマジで天才(ポリリズムをMC後のトップに修正したのもナイス判断)! 最初の4連発でガッチリ客を掴みMCにて落ち着いたところで徐々にミドルテンポの曲に落としてゆき着替えタイム後の突然のTake me Take meで一気にギアチェンジして客を虜にした上でイントロとアウトロが美しいシークレットシークレットで客を爆発させてフェイドアウト後のマカロニのドラム音で涙。後半の息つく間もないキラーチューンの畳み掛けは言うまでもない。

物販宣伝のMCコーナーはいつもよりも簡潔になっていて嬉しかった。もちろんショートコーナーは継続中。どうやら前回の名古屋公演でイケメンかしおゆたか先生なるのち夫のライバルが現れたらしく、そこからはかしゆかに代わりのっちがダイジェスト版のナレーションを務めたのだが、あ〜ちゃんに「なんかのっち下手」とバッサリ切り捨てられて、あ〜ちゃんかしゆかが普通に前回分を演じてくれるという奇跡が起こった。その間のっちは本気でスネて、「だって初めてなんだもん!」と下唇を噛み締めながら「私、どうすればいんですかねえ」とイジケてる様が可愛くてあ〜ちゃんかしゆかの演技をほとんど見ていなかった。そりゃあみんなのっち好きになっちゃうよと思った。今回のドラマで面白かったのは、あ〜ちゃんに「のち夫くんどんな音楽の聴くの?」と訊かれたのち夫が「お、俺、知ってるよ! あ〜ちゃんPerfumeって言うんだろ」と酷く気持ちの悪い返しをして、あ〜ちゃんが「え? 私Perfumeだったの!?」と衝撃的な事実が発覚した瞬間だった。しかものち夫はPerfumeのトートバックを持って大学に通っていることが判明して必死に隠していた。のち夫は「あ〜ちゃんなに食べるんだろうな」と一々気色悪く、「やべ! 俺あ〜ちゃんの友達じゃなくてただのファンじゃん!」と正気を取り戻したのには安心した。このコントの前に、あ〜ちゃんかしゆかがヲタクと女の子のファンが仲良くなる方法を客にレクチャーしていたのだが、そのヲタクよりものち夫はキモい。とりあえずのち夫はこちら側の人間な気がして応援できるのでかしゆた先生に負けて欲しくない。

ポリリズム”、”チョコレイト・ディスコ”、”パーフェクトスター・パーフェクトスタイル”、”ジェニーはご機嫌ななめ”、”Perfume”、飛ぶこともできないぐらいの圧縮の中でもみんなが精一杯手をあげて声を出していた。東京がコンクリートジャングルを生き抜く狩猟民族のノリだったら新潟は米どころ農耕民族のノリ。東京は自分が盛り上がることが全てだった気がするけど、新潟は客一人ひとりがPerfumeと盛り上がろうとする優しさを感じた。ステージの狭さ、客との距離感、Perfumeの力の抜け具合、客が分別を弁えてる(変な主張をする奴がいなかった)、それら全てが奇跡のように噛合って今までにない優しくて素敵なライブだった。あと、かしゆかは2番の「期待してる男の子♪」で毎回絶対俺を指差してる!と友達に熱弁をふるったら「お前が毎回同じ位置にいるからだろう」と冷静に返されて「なるほど……」と我に返った。

アンコール後のMCではいつもどおり武道館決定が発表される。いつもはあ〜ちゃんタモリ締めをして盛り上がるが、今日はあ〜ちゃんだけでなくのっちとかしゆかも調子に乗ってやっていた。そしてここでのかしゆかが鬼可愛くて死んだ。チャン・チャチャ・チャン!のラストで、チョコレイト・ディスコの「気にしないふり男の子♪」のフリを行い、おまけに「ゆかにもできた〜!」なんてブッ放すもんだから観客全員が殺されて「カワイイ!」「素晴らしい!」の連呼になり、なぜかかしゆかだけもう一度シメることになった。そこでも懐かしの『嬉しいY!』を決め且つ「ゆかこういうの苦手なんだから〜!」とボムをドロップして観客全滅。かしゆか原理主義を決意した瞬間だった。

”セラミックガール”でもPerfumeの向上心が垣間見えた。大阪以降、Perfumeが客に求めていたサビでの手の振り付けが簡略化されていた。現場レベルの声がすぐにPerfumeに届いて、それを良い方向へと持ってゆこうとするスタッフを含めたPerfumeの言葉だけではない『ファンと一緒にライブを作る』強い意志が素晴らしい。ライブに関わるみんなが同じベクトルを向いていて、そんな当然でいて難しいことを軽やかにチャーミングに成し遂げてみせるPerfumeのプロ意識に敬服します。補足としてのっちの中指は何があってもイジってはならないことがわかった。セラミックガールの3本指を突き立てる説明をしているとき、客が「のっちの指の反り具合がオカシイ!」と盛り上がったが、いつもみたいにPerfumeはそれを受け入れて笑わすことなく、かしゆかは「カッコイイじゃろ」と流して、あ〜ちゃんは「なんでそんなこと言うん」と怒り、のっちは完全に動揺しながら「何言ってるかわからない、今度手紙で書いて」と返すのが精一杯だった。何があったのかはわからないけど明らかにPerfumeの態度が変わった場面で、反省したと同時に今まで最高にハッピーだったPerfumeの空気が変わってしまうのではないかと怖くなったが、これ以降はそんな感情をおくびにも出さずに続行していたのに心打たれた。まぁそんな些細な指の反り具合まで見えてしまうほどに距離が近かったという自慢です。のち腋エロい。

ルーレットのコーナーは”SEVENTH HEAVEN”、”ビタミンドロップ”、”リニアモーターガール”で、イマイチ昂らないラインナップ(マジでルーレットもガチっぽい)にのっちのリニアモーターガールを応援したのだが、かしゆかがじゃんけんに覚醒した感があってSEVENTH HEAVENに決定した。つーかSEVENTH HEAVEN出すぎじゃねえ? 曲前のポージングであ〜ちゃんが「東京にいるお父さんに捧げます、七つ目の天国」と無茶苦茶なこと言ってたのが最高だった。そして”wonder2”。いつもはかしゆかが”Perfume”辺りで疲れちゃってる印象があったんだけど今日は最後まで集中して頑張っていた。本当にいいライブだった。東京が頂点だと思っていたけど、ノリは違ってもこんなラブリーなライブに出会えるとは思いもしなかった、新潟ありがとう! ぶっちゃけ新潟県民と遠征ヲタの割合は同じくらいだったみたいだけど新潟ありがとう! 次回も新潟あったら必ず行きます! 新潟 LOTSすげぇー穴場だ!!!

新幹線に乗って東京へ帰る車中で友達とビールを飲みながらライブの感想を言い合った。友達は別にアイドルを好きではないし、ライブによく行く人種でもなければ音楽にあかるい人間でもない。そんな人がPerfumeのライブをみて楽しめるのか本気で不安だったけど友達から言われたのは「誘ってくれてありがとう」だった。僕に向かって素直に感謝するような人間はないので驚愕したし、交通費だけで2万払ってるのにそんな言葉が出てくるとは思わなかった。「Perfumeはいい子たち」「あ〜ちゃんがカワイイ」「お辞儀が深くて長い」「あ〜ちゃんはテレビで見るよりかわいい」「ファンのノリが気持ち悪くなくて最高だった」「あ〜ちゃんが思ったよりもカワイイ」「チョコレイト・ディスコを生で見れて感動した」「それよりも生のあ〜ちゃんはかわいい!」のっちが何となく好きだと言っていた友達がずっとあ〜ちゃんを褒めていた。僕はその度に「そうだろう、そうだろう」と深く頷きながらPerfumeってすげえや!と泣きそうになっていた。だけど、ライブ開始後に一気に客がセンターに押し寄せて、ヘリにいた友達が悠々と最前近くまで歩み寄り、Perfumeから爆レスを受けていたことを淡々と話し出して「死ね、いやマジで死ね、つーか死ね、本気で死ね、今すぐ死ね」の5連発DEATHをして不貞寝した。Perfumeは一過性のムーブメントなんかじゃない。今更ながらそれを再認識した。