ばらの花

Perfume First Tour「GAME」@仙台CLUB JUNK BOXに行って参りました。前回の日記で、大阪で衝撃、東京で歓喜、新潟で至福、ならば仙台では何が見れるんだと胸を膨らませていましたが、トンネルを抜けるとそこは地獄でした。まさかPerfumeのライブで地獄を見るとは思ってもいませんでした。GWに会社を休まず、体調を崩していた為ライブ前日には会社を遅刻して病院で風邪薬を貰い(最早人生Perfume中心)、この日のためにコンディションを整えていたつもりが仙台に向かうバスがアホとしか言いようのないレベルで冷房吹き荒れ、ライブハウスに着く前からガンガン咳き込み&冷や汗が背中を伝い、立ち止まっている人間にフルパワーで衝突してしまうような朦朧とした意識の中、でもPerfumeのライブで汗かけば治るだろう的な楽観視をした愚か者が仙台CLUB JUNK BOXで地獄を見ました。新潟で味を占めて地方に対して調子に乗っていた自分も確かにいました。仙台ごめん、Perfumeごめん、そんな想いを込めて日記を書きます。

中央のバー手前付近にポジションを取った僕は不安を覚えていた。まるでステージが見えない。ステージが低いどころかすげー狭い。例のシャンデリア調の装飾もメタリックなオブジェも置いていない、ように見えた。それすらも確認できないまでに何も見えない。今日ほど、なぜ僕は身長が180センチないのか、なぜイケメンではないのか、端的に言うとなぜ絶対彼氏もこみちではないのかと自分を恨んだ日はありませんでした。そんな邪悪なオーラに気付いてなのか、目の前の180センチぐらいの兄ちゃんが前を譲ってくれました。パフュヲタの優しさに涙したのですが、それでも何も見えやしねえ。まあでも曲始まったら圧縮になって前方詰まるから大丈夫だろうとどこかでこの箱をナメていた部分がありました。そして”GAME”が始まり、やっぱなんも見えやしねえええええッッッ!!!!! すげえ客盛り上がってるんだけどすげえ何も見えねええええ! 後ろから「何も見えない!」というシャウトが所々で聞こえる! 安心しろ同士よ、僕も何も見えてやしな、あ! かしゆかライトセイバー見え”エレクトロ・ワールド”始まっちった! すげえ盛り上がってるけど手すら上げられねえ! なんだこれ!? 圧縮なんてカワイイもんじゃねえぞ! つーかバー手前女性ばっかで突っ込めねえからバカみてえな後ろからのアタック踏ん張ってもう死にたい”コンピューターシティ”は何一つ伝わってこねえ! 絶望した!!! そこはかとない絶望感でいっぱい! 無理に仙台に来るんじゃなかった! どうせなら一人でも多くの仙台にいるファンの方に譲れば良かったという後悔が───”コンピュータードライビング ”「揺れてー!」って言われても白濁とした世界に黒い影が蠢く映像しか視界には入ってこない。ボーっとしたまま一気にMCまで突入してしまった。

MCでなんとか楽しめるスペースと体力を確保しようとしたが、殺意を感じる勢いで空調が効かない。Perfume First Tour「GAME」@サウナ。かいちゃいけないタイプの汗がダラダラどころかドロドロと流れ落ちる。客と客の頭の隙間からなんとかPerfumeを覗き込もうとして隣の客と顔が擦れる。アイドル蜘蛛の糸、そうここは地獄だ、僕は地獄に来たんだ。「3人合わせて、Perfumeです!」いつもは大声で被せたくなる自己紹介も遠くに聞こえる。しかしPerfume様はそんな後方にいる魑魅魍魎どもの絶望具合に気付いて下さったのか、一段上の台に上ってくださった。それだけで体力が回復した気になったし、このときはまだPerfumeのコールにも返せる余力があった。それにあ〜ちゃんはこの時点で相当客がヤラれてる様子を気にしていたみたいでいつにない早さでMCを切り上げた(スタッフに空調についても注文していたみたいだ)。

あ〜ちゃんに煽られても客が空気を読んでタイトルを言わなかった”Twinkle Snow Powdery Snow”当然見えない。”Baby cruising Love ”の時点で前線に行った友人は脱落してロビーに下がったらしい。”ファンデーション”かしゆかを見せてくれ! かしゆかを見せてくれればもう少し頑張れる気がするんだ! ガッツが足りないんだ!!! とりあえず音にあわせてファンデーションのサビのフリをやって手を上げてみるがが何も見えない。この場所で初めてPerfumeのライブを経験する人はどう思ってしまうんだろうと考え込む。いつもはどうでもいい”Butterfly”が視覚を必要としないせいなのかやけに楽しかった。

”Take me Take me”うわぁ……たまにチョロっと見えていたPerfumeの顔が一切見えない、ダメだ心が折れそうになってきた。ふと極めて体調が悪かったことを思い出して急激な欝に襲われ逃げ出しそうになるが”シークレットシークレット”! イントロだけで一気に戦える気持ちになるも、そうM・I・E・N・A・I! ”マカロニ”はマイクスタンドでPerfumeのポジションが完全固定されるので、どう足掻いても見えないものは見えないからバックのスクリーンに映るPVを楽しむ。THE・家で見るのと一緒という逆転の発想でなんとか乗り切る。

MCだけが僕の心の拠り所だった。台に上がってくれるのでPerfumeのご尊顔をやっと覗くことができる。ちゃあぽんのブログにより発覚したあ〜ちゃんの痛めた首は整体に行ったことによりケロっと治ったらしい。take me take meの途中で「ブチッ」とやったらしい。それを笑ったらのっちが「笑い事じゃありませんよ」と怒っていた。のっちはとりあえず自分のスダレみたいな髪型を直した方がいい。待望のあ〜ちゃんとのち夫物語は、のち夫の残念っぷりが更に加速していた。あ〜ちゃんは約束どおりかしゆた先生とサンシャインのプラネタリウムを見に行く。「あれが水瓶座だよ」「あ〜ちゃん、あれです! あれあ〜ちゃんです!」と水瓶座あ〜ちゃんになってしまうほど親密なかしゆた先生のレッスンに「ボディータッチが多いんだよなあ」と素の声で嫉妬する大本さん。耐え切れずにあ〜ちゃんに電話をするもauお留守番サービスに繋がってしまう。しつこく電話をしてみるも完全無視されて挙句の果てに「最近迷惑しているんです」と存外な扱いを受けるのち夫。全日本モテない男子代表のち夫に自己投影して号泣しかけている中でもかしゆた先生はスマートなエスコートを魅せる。もうダメだ、のち夫お前はよくやったよ、もういいからこっち来て一緒に酒飲もうぜ!と声をかけそうになっていたら、あ〜ちゃんからフォローのメールが! しかし、のち夫の着信音はチョコレイト・ディスコ! はい残念!!! そんなこんなで無理やり3人で遊びに行く理由を作って次回へ。このドラマも残すところあと3回。奇跡を信じて、かしゆた×のち夫カップルが生まれるのを信じています。

「盛り上がりたい人〜?」「楽しみたい人〜?」なんつーギリギリのコールが飛びますまでに限界ヨロシクな客に今回最大のプレゼント、”ポリリズム”のポージングから曲付きのnakano kill you! CLUB JUNK BOXPerfumeの翌日が凛として時雨のライブで、どうやらピエール中野も見に来ていたらしく、こういう目配せがPerfumeの優しさだ。しかもこのパートを一番練習したらしい、殊勝アイドルPerfume。正直ここのMCで後ろに下がろうと思ったくらい死にかけていたが、怒涛のキラーチューンで残った全ての体力を使い切ってから下がろうと決めた。ポリリズム辺りから圧縮が緩くなって飛べる状態になったのでPerfumeの姿をやっと目視できるようになった。しかも飛んでる方が遥かに楽で”チョコレイト・ディスコ”では全てを忘れて楽しめた。”パーフェクトスター・パーフェクトスタイル”全力で手を振り上げて一体になった。”ジェニーはご機嫌ななめ”自棄になって声を枯らした。そして”Perfume ”手を上げ続ける力すらも残っていなかったので、右手と左手を交互に出して真っ白な灰になった。すっからかんだった。

アンコールの最中、一声も出せなかった。もう下がらなきゃという敗北感と、あと3曲だけだという執着心との葛藤に深呼吸をしながらタオルで顔を拭うも、そのタオル自体が最早機能を失い重荷でしかなかった。Perfumeが出てくるなりに「暑くてすいません」と謝っている。あ〜ちゃんがスタッフに「もう少し空調どうにかならないんですか?」と訊いたらしいがこれが最大出力だという。なぜZepp Sendaiじゃないんだ!とDir en greyに八つ当たりしたくなる。武道館ライブ発表。あ〜ちゃんが「水道橋じゃなくて九段下です、ちゃんと順を追っていきますから」とロックな発言。大きな目標を打ち立てては全て越えてきたPerfumeは未だ立ち止まる様子を見せない、カッコイイ。”セラミックガール”の振り付け説明が始まる。いつの間にか前方の人の群れが無くなりPerfume3人の顔も見えるようになっていた。言うまでもなくLIVING DEADな状態だったのでダラダラと手を上げていたら、かしゆかさんに「今、みんな油断してたでしょ!」と注意される。いやもうムリっすよ!と心の底で空しく叫んだ声が届いたのか「ごめんねえ、もう少しで終わるからねえ、チャッチャッと行くから」とあ〜ちゃんが謝った。こんなことをPefumeに言わせてしまうライブがあっていいんだろうか。疲労と謝意が混沌として深い挫折の中、セラミックガール終わりに後ろに下がった。僕が進む先は、けもの道のように既にホールから脱出した人たちの通った跡が残されていた。ロビーに出ると別世界のように空気が澄んでいた。そこには僕と同じように廃人と化したファンが何人もいた。生まれて初めてワンドリンク制度を利用してウーロン茶を飲んだ。あんなに冷たくて美味いウーロン茶を飲んだのも人生で初めてだった。僕がダウンしている間もスタッフに引きずられながら出てくる人がいた。先にロビーに出て行った友人が言うには軽く10人を越える客が運ばれていったらしい。ホールの入り口付近にいる人が「モノクロームエフェクトに決まった」とロビーにいる人間に告げる。戻ろうとするも入り口付近が逆圧縮状態になっていて諦め、ロビーで静かに”wonder2 ”の歌声だけを聴いた。「ラーラーラーラー」観客の声が響いている。ロビーの中で手を振る人がいる。小さく拍手をして、全てが終わる前にライブハウスを後にした。仙台CLUB JUNK BOX向かい側のコンビニで1リットルのアクエリアス買って飲んだ、こんな味だったっけな。