けし粒の生命でも私たち輝いてる

11月7日、Perfumeさんの日本武道館ワンマンライブ 2DAYS”エスキモー pino presents BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!”を見てきました。今日はその感想を書きます。

僕のご用意して頂いたチケットはアリーナのA@「神様はいると思った僕のアーバン・ブルーズへの貢献」状態にライブが始まる前から既にテンションは振り切っていたのですが、武道館というキャパシティーに対してPerfumeがそれに見合ったパフォーマンスを見せることが出来るのかが一抹の不安としてありました。Zepp Tokyoですら使いこなせていなかったセマドルが武道館でやれんのかオイ!と相変わらずの何様目線で心配していたところ、いざライブが始まったらそこは極上のクラブハウス。日本のロックが連綿と受け継がれてきた箱を巨大なクラブハウスに変える魔法を天才Perfumeさんたちは知っていました。路上でライブしたりチラシ配っていたアイドルが武道館を埋め尽くしてしまうなんてこれ以上にロックなことがあるんだろうか。新参のファンだとしても小さな女の子3人が1万人の心を一つに纏め上げてしまう奇跡に心打たれて泣けてしまう。Perfumeを作る全てに感謝します。

武道館の時計が『19:00』を刻み会場全体から手拍子が起こる。開演時間を押すのが恒例行事だと思っていたので、ちょっと気持ちを緩めていたら、アナウンスが流れて会場が真っ暗に。マジでか!!!といつものクセで前方に押し寄せそうになるパブロフの犬な自分がいた。ステージの巨大なビジョンに近未来(久しぶりにこのフレーズ思い出した)の世界を疾走するPerfumeの映像とスピーカーから爆発しそうな重低音。音と映像の猛スピードの世界に体と脳が引きずり込まれて鳥肌が止まらない。爆音と共にPerfumeの3人がシャトルに乗り込みカウントダウンが始まる。巨大な画面の前にPefumeが登場。客席から悲鳴に近い雄叫びが上がるや否や、センター前方に突き出したステージに”コンピューターシティ”のポーズをしながら本物のPerfume3人が登場! そのときの発狂と歓喜を端的に言うと、神! 神様が光臨された! 脳は思考を停止し、体だけが音に反射して無意識に飛び上がる。「絶対故障だ」の部分で音が飛んでしまった。Perfume3人もクラッシュしてしまった音に合わせて何度も「絶対故障だ」のパートを壊れたように踊り続ける。加速する音の果てに辿り着いたのは”edge ”。失禁です。見るもの全てが新しくて感動の波が途絶えることなく心を刺激する。「say yeah!」で客が一斉に叫ぶ。P.T.A.限定のオレンジの聖衣(クロス)を纏った奴ら(モチ自分も)の団結力が尋常じゃない。てめぇら初めて見たんじゃねえのかよ、なんだよこの一体感は、ここは武道館だぞ、マジでみんな最高にもほどがある。そして僕は完全に忘れていた。Perfumeのライブは出だし3曲が悪魔のような展開なのだと。叩き込むように”エレクトロ・ワールド”。どうにでもなってしまえ! 感情の赴いたままにどうなってしまってもいいさ! 感情吐き出して今すぐ素直になれ! Perfumeが大好きだ!!!!!

圧縮が無いのに汗をかいている自分がいる。正直に言うと今回のライブに対して特別な何かを期待していたわけではなかった。RIJFサマソニで経験した疑問を消化できずに武道館を向かえて、もしかしたら自分が今までPerfumeに抱いていた何かを決定的に失ってしまうのではないかという恐れすらあった。バカだった。今も昔もずっと僕はバカだけど、彼女たちは何万年後も最高だ。彼女たちが変わったのではなくて自分の彼女たちを見つめる距離が変わっただけだった。強固なる意志と天性の才能と絶間ない努力で彼女たちの心はいつもそこにある。それはどんなポジションに立つことになっても常に深く下げられるお辞儀からも窺える。1万人が声合わせて「Perfumeです!」と叫ぶ。Perfumeがみんなの心の中に確かにある何にも代え難い素敵な瞬間だ。あ〜ちゃん君が代を歌えば、みんなも歌い、止めたくなったらラストのワンフレーズ残して勝手に止める。それがあ〜ちゃんで、それを見守る二人がいる。Perfumeが「今日売られてるタオル買った人?」と聞けば、誰も打ち合わせしていないのにみんな同時にタオルを掲げる(しかもほとんどの客が買ってる、モチモチ自分も)。Perfumeはその一体感に素直に驚いていた。それって素敵やん、紳助いたら泣いてるはず。そして恒例の声出しで慄いたのは2階席の気合の入り方。いつもは関係者らが多いから静かなモンだったのに、P.T.A.の先行で申し込んだファンも相当数2階に回されてるらしく笑っちゃうぐらい声がデカくてアリーナからは小さく歓声が沸いた。それに負けてたまるかとみんなが普段以上の声を出していた。ファンいやヲタクってすげえ。

"Plastic Smile"のイントロが流れて「やったね!」と隣の友達に喜びを伝える。友達はGAMEツアー来てないので僕がなぜにこんなにも喜んでいるのか理解できない顔をしていた。武道館で指定席だというのにほぼ友人を無視して一人で楽しんだ。続いて”love the world”。RIJFサマソニもこの曲で流れが途絶えてしまう気がしていたのでlove the worldやらなかったらすげえなと思っていたのだけど、まあやりますよね。でも初めて発表するミドルテンポのPlastic Smileのあとに持ってきたので奇麗に繋がっていた。チュチュチュ!ってやるのは楽しい。んで”マカロニ”。個人的な思い入れが強すぎるため素で涙。アリーナからだと、センターステージで唄われると正面から見れない!と悔しがっていたらステージがまさかの回転。スペースがあるのでPerfumeのライブで初めて振りコピする。涙しながら振りコピするヲタ、日本で一等気持ち悪い自信があった。

2回目のMCでは怒涛の客イジリー。のっちが右サイドに走ってきたのでヲタが絶叫するも、あ〜ちゃんが喋ってるから「しーっ!」と窘められる。左サイドではかしゆかが客に手を振りまくっているというのにだ。ストイックだぜのっち。だけどあ〜ちゃん先生による『客席にいるカワイイ女の子講座』を聞かないで手を振り続けていた樫野さんは「聞いてんの!?」と怒られる。「聞いてるよ! ゆか気付いてたもん!」と反論するかしゆか。そんな二人を見て「もしかして修羅場!?」喜々とするのっち。ゴキゲンだぜのっち。そしてあ〜ちゃんにイジられるためにあらゆる武装をしてくるヲタたちもだいぶゴキゲン。しかしカップルの腕組みには勝てない。一通り話し終わり、”Baby cruising Love”のポージングに入る3人。だけど案の定あ〜ちゃんのマシンガントークは終わることなく、立ち膝ついているかしゆかを無理やり立たせてスポンサーへの感謝を述べる。あ〜ちゃんこそが法なのだ。

Baby cruising Love、”Take me Take me”のゆったりと魅了するダンスを骨髄まで味わって脳みそが溶けそうになっていたらPerfumeがステージから下がった。”Butterfly”のイントロが流れ出した刹那にオレンジの聖衣を纏ったヲタたちが一斉に着席。しかしボーカル音にのせて巨大画面にPerfumeの3人が映った刹那「ツアーとは違うじゃねえかよ!」と一斉にヲタが立ち上がったのには今日イチ笑えた(重ね重ね自分も含む)。予想以上に早い休憩タイム終了後には休んでんじゃねえよとばかりにアゲアゲのウエウエの”GAME”。ライトセイバーに大暴れしていたら”シークレットシークレット ”。ダメだ、漏れる。穴という穴から液体が漏れる。「これは運命なんだね」のパートで3人が顔向き合わせて踊る場面は何度見ても泣きそうになる。頭が真っ白になってるのにとどまることなく”パーフェクトスター・パーフェクトスタイル”。武道館全体が手を突き上げて指を振っている。全てが一体になる高揚感。本当にPerfumeはパーフェクトスターになってしまった。

MC。定番のコールアンドレスポンスで改めて思ったのはおっさん率が高いこと(自分も最早その中)。なんとなくPerfumeヲタは他のアイドルと一線を画するオシャレヲタが多いみたいなイメージがあるけど、むしろハロプロAKB48に比べて小金持ちが多くて年齢層が高い気がする。あと「そうじゃない人!」が多すぎる。僕も涎を垂らしながら「ハァーイッ!!!」と初めて手を上げてしまった。それにしても老若男女みんなが幸せそうなツラをしてる。間違いなくあの時間の武道館は世界一ハッピーな場所だった。

”セラミックガール”久しぶりに隣にいた友達の存在を思い出して「次はこうだよ」と指の形を指示する。セラミックガールで体を温めた後は真打”ジェニーはご機嫌ななめ”。眉間に皺を寄せながらPerfumeの名前を吠えて大乱舞。最高だ、武道館が心底気持ち悪い、最高すぎる! 武道館全体で名前をコールするアーティストが今現在他にいるかっつーの。特異性を普遍性に変えてしまえるマジックを持った最強のアイドルだ。メッチャ汗かいた後は地面が震えるようなキックが鳴り響く中、あ〜ちゃんが前に出てきて「ジャンプ!」と客を何度も無理やり飛ばせる。続けて「一度やってみたかった」ウェーブを強請。あ〜ちゃん総統に統率されたドMしかいないパフュヲタはラリった目で超精密な波を再現。テンションが上がったあ〜ちゃん閣下は「Say Ho〜!」と悪ふざけ発動。もちろん我々I Wanna Be Your Dogは何の抵抗もなく「Ho〜!」と返す。「yeh yeh yeh yeh yeh」と言われればツアー中に何度も口酸っぱく注意されてきた「trial dance!」まで完璧に返す。何の脈絡も無く「ウルトラソウル!」と未開の地に突入しても「オイッッッ!!!!!」と飛び上がる準備は出来ているのだ。それこそがヲタなのだ。ただただあ〜ちゃん姫の笑顔を見たいだけなのだ。

そんな中”チョコレイト・ディスコ”! 空っぽになった体力にPerfume3人の笑顔が注ぎ込まれて自然と体が宙に跳ねた。それにしても驚異的な振りコピ率。会場全体でゆっくりと掌を上げてゆく絵は宗教的な神聖さすらあった。ラストのサタデー・ナイト・フィーバーポーズを全員が決めて歓声が上がると”ポリリズム”。ダンスホールから知性が取り除かれてそこにある何もかもが音楽の一部と化した。素晴らしいセットリストだ。”Perfume 〜ソックス フィックス マックス”のセットリストが頂点だと思っていたけど、現在のPerfumeの楽曲でも何度もカタルシスが訪れることを証明した素晴らしい構成。最後は”Puppy love”、ずっと待ってたんやでぇえ! Perfumeさんツンデレーション待ってたんやでえええ! でもなんだこの振り! もっと聞かせる系で良かったと思うのに『おかあさんといっしょ』的な集団ダンスに萎えるも1階席の幼女が超喜んでいた。やたらのっちがアリーナ無視して1階ばっかりに爆レスしてんなと思っていたら、ステージの端からすげえ近距離に小さい女の子がいて、タイマンでライブしてるかの如くのっちは御執心だった。のっちがSPEEDになると決心してPerfumeになったようにあの子もいつかPerfumeになると決意してラブリーな女の子になったら素敵だな。

アンコール。さすがに拍手は疎らだったが徐々に統一されてゆく。ゆっくりPerfumeの3人が出てくる。涙を流しながらあ〜ちゃんは「本当に、ありがとう以上の言葉があればいいのに……」言葉を詰まらせる。僕はあ〜ちゃんが泣くと涙よりも笑顔が零れてくる。彼女の優しさに、心地よいココロの粒子に触れてラッキーになれる気がするからだ。新曲”Dream Fighter ”の説明をしていると1階席中央の客席から自然と拍手が沸き起こる。Perfumeが何事かと顔を見合わせていると客席にスポットライトが当たり神登場。単独ライブを初めて見に来てくれたことに感動していると言うよりも不思議に感じちゃってる3人。のっちが「電池食べてるだけじゃないんだねえ」と訝しげに呟いていたのが面白かった。

Dream Fighter”は自分の中で消化できていなかったけどPerfumeさんのダンスを見て速攻で寝返る。客に煽られてヤスタカは恥ずかしそうに手を振ってるだけじゃなく掟ポルシェを見習ってタモリ締めの一つもしてみせる誠意を見せろ、Perfumeさんに感謝しろ。そしてそしてそしてライブ来たならこれやらなきゃ帰れないよアンセムPerfume”へ。やっぱりRIJFサマソニに究極欠けていたピースはこれだ。Perfumeが”Perfume”やらないで誰がやるっつーんだ。ここに来れてよかった。武道館はアーティストと距離があるって思っていたけどそんなことはなかった。その距離を瞬時に縮める術をPerfumeは知っている。空間も時間も越える方程式を知ってる。クラバーもヲタクも小学生もおばあちゃんもメガネもレーシックもカエラ宇多丸も全てをない交ぜに僕らは一つになる。そして一つになった心は”wonder2”で解放される。サラリーマンも親子もカップルも浪人生もミュージシャンも俳優もフリーターもアイドルも、みんながそれぞれの暮らしに帰ってゆく。僕らはピースサインで手を振り、「ラララ」と今日に別れを告げて明日へと進んでゆく。それでもあの日止まった時計はきっとまた動き出し幸せな物語を運んでくれる。だってPerfumeだけはほかと何かが違う不思議な存在だからだ。